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魔法の万年筆 5/14
2007-05-15 Tue 03:05
※超ネタバレ注意

前回が「ヴァージニア・ウルフ〜」だったせいもあり、約1年ぶりの吾郎さんの
舞台「魔法の万年筆」は、ひじょうにガッカリな内容だった。一言で言います
と、面白くないのである。なんで翻訳劇風にしたのかさえ、意味がわからない!
まあ、翻訳劇風にした方が、ファンタジックな雰囲気になるからでしょうが……。

ラッパ屋主宰の鈴木聡とは「謎の下宿人」以来のタッグなわけです。正直、私に
は「謎の下宿人」もそれほど面白くなかったので、今回は予想通りに駄目な感じ。
そうなんです。今回は芝居自体はまるで期待してなかった。PARCO劇場とい
う小さな劇場空間で、喜怒哀楽を表現する稲垣吾郎を近くで観たい! それが、
私の目的であり、うっかり面白かったら儲けモノみたいな気持ちだったのです。
だから、別に凹むとかはなく。やっぱりな〜でした。こればかりは趣味もあるし、
好きな人は好きなのかもしれない。私にピンとこないだけかもなので、これか
ら観に行く方は、私の感想などは気にせず劇場へ行って下さい。

鈴木聡の戯曲はイマイチ面白くないけれど、”温かさ”がある。根底に人が好きと
いう作家の人柄が滲み出ている。そこが私の鈴木戯曲を褒める?時の一番の美点
です。人間を描く時に、やはり作家性というものが出ると思うのです。三谷さん
は愚者への愛、駄目人間讃歌なテイスト。これはご自身を見ていてもよくわかる。
鈴木さんは”憎めない人”が好きなんだろう。人としてどうかなという短所は
あっても、憎めない。許せちゃう。そういう人間を描くのはとても上手いと思う。
ただ、話が凡庸でつまらないのです。今回は吾郎ちゃんの舞台を「夜曲」以外は
全部観ている私が観て、最もつまらない舞台だった。

「魔法の万年筆」タイトル通り万年筆という小物を使った、小物回しという手法
を使った物語です。主役は万年筆です。吾郎演じるパーカーは、デパートで万年
筆を販売していたデルタに一目惚れ。彼女が選んでくれた「とても書き易い万年
筆」が、パーカーに幸運をもたらし新進気鋭の小説家として開花する。そこに
現れるアメリカで支持される文豪モンブランと、その行き遅れの娘・セーラー。
パーカーは、愛するデルタよりも、地位と財産に目が眩みセーラーを選ぶ。
・・・よくあるお話です。結局、地位と財産は手に入れても幸せにはなれず、挙句
万年筆は紛失してしまう。今度はその幸運(文の才能)をもたらす「魔法の万年筆」
と財産を巡って、セーラー兄、亡霊モンブラン、愛人ぺリカーノなどが争い始め…。
最後、パーカーは「地位や財産よりも、身の丈にあった幸せな愛の生活」がいい
と目を覚ますのですが・・・不幸に終わってしまうというオチ。
なんだかもう話はつまらない。ところどころの小ネタで笑うだけです。
吾郎さんや、小林隆、山崎一など好きな役者が出ているから耐えられましたが、
そうでなければ爆睡したかもしれません(笑)

・・・と酷評ですが、楽しく観ました。なにしろ、吾郎さんが愛らしいのです。
優柔不断で、女好きで…でも憎めないという稲垣吾郎にぴったりな役だったし
吾郎さんが泣いたり、笑ったり、狼狽したりする姿はどうにもチャーミング
山崎一のモンブランパパも可愛かったし、河原雅彦の父の愛に飢えた馬鹿な
兄貴もグーだった。は〜、しかしせっかく使える役者を揃えたのに、戯曲がこれ
じゃなぁ〜。至極もったいない。なんちゃって翻訳劇。ちょっとシニカルな人間
喜悲劇……。すんごく軽い。なにも伝わるものがない。観た後に何も残らない。
残るのは、吾郎さんのチャーミングさだけ。まあ、たまにはこういうこともある
ね〜。「コンフィダント」「薮原検校」の後に観たのも悪かったな(笑)

今日は、PARCO劇場に勘太郎くんも観に来てましたよ。

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