たらら~んとしたブログ

歌舞伎・演劇・映画などの感想やら、非日常な日常やら、たらら~んと書いてるブログ。
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坂田藤十郎襲名・昼の部 ~歌舞伎座~

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坂田藤十郎襲名披露/昼の部をやっと観ることが出来ました。
※三階席2列目から、23日に観劇しました。

【鶴寿千歳(かくじゅせんざい)】

箏曲による御祝儀舞踊。雄鶴を梅玉、雌鶴を時蔵。初春興行らしい華やかな踊りでした。
梅玉&時蔵コンビの舞踊は過去にも何度か見ましたが、とてもお似合いというか、しっくり
くる組み合わせだと思う。優雅で、品が良くて、おっとりとした感じがします。
見ていて心が安らぐ……。衣装が純白×紅色とおめでたくて、とても綺麗でした。

【夕霧名残の正月(ゆうぎりなごりのしょうがつ)~由縁の月~】

亡くなった傾城・夕霧が、伊左衛門の前に在りし日の姿で現れ、束の間の逢瀬を楽しむ。
夕霧に雀右衛門。伊左衛門に新・坂田藤十郎。この舞台でまず注目すべきは、ホンモノの
紙衣。初めて見ました。和紙で作ったようですが、「毎日着てよく破れないな~」と妙な
ところに大注目していました。
芝居の方ですが、小品といった感じでしたが、雀右衛門さんの夕霧がとても素敵。
藤柄の打ちかけの後ろから、夕霧が出てくるところは、まさに幽玄。
この一幕は口上も兼ねていました。秀太郎、我當の扇屋夫婦からお祝いの言葉をもらって、
まだまだ青春真っ只中の藤十郎さんは、「まだまだ元気です。悔いのない人生を送りたい」
などと明るい御挨拶をして下さいました。

【奥州安達原(おうしゅうあだちがはら) ~環宮明御殿の場~】

昼の部でいちばん見ごたえのあった芝居でした。福助演じる袖萩がとにかく可哀相でうまい。
イヤホンガイドでも言っていましたが、砂の器の親子のような可哀相さで、前半からウルウル
してしまいました。親の反対を押し切って駆け落ちをした袖萩は、勘当され、今は瞽女
(※三味線の弾き語りで、門付けをする盲目の女芸人)に零落し、幼い娘と貧困の中、寄り
添うように生きている。父親が切腹するという話を聞いて、その一大事に駆けつけるも、
会って(許して)もらえない。
両親(平直方、浜夕)の本心は、「勘当しても娘(袖萩)は可愛い。優しい言葉をかけてあげ
たい」なのですが、それがかなわない時代。・・・切ない。そんな状況で、自分の身の上話
を両親に唄う『袖萩祭文』は、本当に切なくて、泣かずにはいられない。

そのあと持病の癪を起こす袖萩に、寒い中、自分の着物を脱いでかけてあげる幼い娘。
袖萩は目が見えないので、すぐには気付かないのですが、娘の震える声で気付き、「私の
ような不幸者が、こんな孝行な子を持つなんて、これも因果のうちかいな…」と泣き崩れる。
ここも涙ポイントでした。前半は、福助演じる袖萩と、その娘(山口千春)の親子の情愛に
打たれました。泣けます~。
また、浜夕の吉之丞が芝居で見せる娘・袖萩への秘めた愛情も素晴らしかったです。
武家の女房らしい品格と大きさ。ゆえに零落した娘にあたる態度は厳しいのですが、心の
奥底は愛おしさと、懐かしさに溢れ返っている。これが伝わらないと、環宮明御殿の場の
お芝居は、ひどく冷たくなってしまうと思う。なにしろ、雪が降るほどの寒空の下でのお話
ですし……。直方の切腹に合わせて、袖萩が自害して、「未来では必ず親子の対面…」の
場面も良かったです。

後半は吉右衛門の貞任の一人勝ちというか、立派な貞任に圧倒されました。
衣装がぶっかえると金ぴかでカッコイイし、この芝居の美味しい所を一気に持っていって
しまった感じです。それに対峙する義家は染五郎。この芝居の中でいちばんエライ人なわけ
ですが、まだ染五郎さんでは大きさや格が出ないですね。貞任(吉右衛門)・宗任(歌昇)
を相手に、余裕ぶっこく義家というには物足りないかな? 見た目はとても綺麗でしたが♪
後半、今際の際の袖萩と、その夫であった貞任の再会があるのは救いがあっていいですよね。
そして、娘と貞任の子別れ。終わりにこの場面があるせいか、悲劇でもそれほど後味は悪く
ない。

奥州安達原は、全部の段の話を知らないので、イマイチ話がわかりづらい。
国立劇場でいいから、通しで一度やって欲しいなぁ……。
最後に、子役の山口千春ちゃん。すごくお上手でした。お陰で泣けちゃったよ!!



【花競四季寿 万才(まんざい)】

中村芝翫病気休演の為、福助&扇雀コンビの「万才」。まことにおめでたく、初春らしい舞踊
をやわらかく、可愛らしく踊る二人にホッコリ

しかし、一幕目に「鶴寿千歳」があるのに、またここで「ただおめでたいだけの迎春舞踊」
を入れる必要はあったのかしら……というのは大きな疑問。
今月、昼の部は長丁場で、5つも演目があります。見る方にとっては、お得感がある反面、
正直しんどい。なので、ここは踊りの一幕ではなく、休憩にして欲しかったな。
「万才」を見終える頃には、エコノミー症候群かと思うほど、足がむくんできて辛かったです。
(※三階席はそれじゃなくても狭くて、辛いのですが……

【曽根崎心中(そねざきしんじゅう)】

私が歌舞伎にハマった切っ掛けは、鴈治郎の天満屋お初の、若々しく可愛らしい姿に度肝
を抜かれたから。99年四月中村会 IN 歌舞伎座のお話です。
なので、個人的に思い入れたっぷりの今回の襲名披露狂言「曽根崎心中」。
疲労度MAXでしたが、頑張って見てきました。・・・が、違うんです。
いろいろ新しい工夫を施して、一新されてしまっている。これを、プラスと見るか、改悪と
見るかが意見の別れどころかもしれません。

まず大きく違うのが、舞台転換。今までは、暗転でなされた心中の場の転換が、廻り舞台を
使うことで、時間短縮、すっきりした流れになっています。これは、転換に時間がかかると、
時がだいぶ経過したように客が思ってしまうので、先月から直したそうです。
海外公演でヒントを得たようで、たしかにこの方が客のテンションが途切れずに最後までいける。
でも、なんとなく軽くなってしまったような気もします。
これは、転換の問題ではなく、新演出のせいだと思うのですが……。今回、平野屋徳兵衛が
往来で生き恥をかかされる場(油屋九平次との言い争いの場)、なぜか延々と群集が徳兵衛
を取り囲んでいるんです。そう、野田版研辰のように・・・。これでは、歌舞伎という
よりも、演舞場などでかかるお芝居のようで、なんだか微妙。

藤十郎の天満屋お初は、相変わらずご本人の年齢を忘れさせる可愛らしさで良かったです。
とくに、天満屋の場面は流石だなぁと思いました。翫雀の徳兵衛は、以前よりもずっと
よくなっていて、藤十郎と並んでも引けをとらない。天満屋床下の場面、お初に死ぬ覚悟
を伝える徳兵衛は憐れで可哀相になりました。ただ、心中の場はもう少し気迫が欲しかった
かも。あれでは、お初の死ぬ気に引きずられているだけに見えてしまう。
意外なキャスティングでしたが、とても似合っていた橋之助の油屋九平次。大阪の芝居に
出るのは、初めてらしいのですが、嫌な敵役を好演していました。私は真面目で気弱な
徳兵衛よりも、ワルの九平次の方が好きです。(※役としてですよ!)

というわけで、最後の幕「曽根崎心中」は、私が期待していたものとは違いましたが、歌舞伎
通の方はこの新演出をどう思っているのか気になります。面白くなかったわけではないの
ですが、なにか引っかかる。
これで、一月歌舞伎座は昼・夜全演目制覇(笑)しましたが、昼の部は「奥州安達原」、
夜の部は「先代萩」が良かったです。NO.1は「先代萩」。昼・夜たっぷりな歌舞伎座
でしたが、全部見るのは本当に疲れたなぁ。体力のない私には「浅草歌舞伎」くらいの
長さが丁度いいです。

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