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芸づくし忠臣蔵/関容子

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お薦めの1冊●芸づくし忠臣蔵 著/関容子 (文春文庫)●

「仮名手本忠臣蔵」。数多ある歌舞伎作品の中で「義経千本桜」「菅原伝授手習鑑」と併せ、
「三大時代物」と称される、昔から大人気の名作歌舞伎だ。
この「仮名手本忠臣蔵」を題材に、関容子さんらしくいろんな役者さん、裏方さんに取材をし、
楽しいよもやま話はもちろん、芸のこと、その本質までを教えてくれる1冊がコレ。

五段目の猪にまつわる笑い話だけでも、片手で数える以上あって面白い。人気演目なだけ
に、上演数も多く、その数だけエピソードは眠っているのだろう。
あと、やはり興味深いのは当代の中村屋に関係するお話。五段目で、火縄をグルグル回し
ながら花道を歩き出てくる勘平の、その火縄の扱い方。歩きながら火縄をだんだん短く持つ
ようにするのだそうで、たしかにそうしないと、松の木にぶつかって火を消すところがうまく
いかない。これを読んでから、浅草のご兄弟を観察してみたのだが、松の木にぶつかる手前
までに短く持ちかえていた。なるほどなぁ…と、その工夫に感心。この話を知らなければ、
見過ごしてしまうような些細なところではあるが、歌舞伎は芝居の工夫も面白いので、知って
少し得をした気分になった。

六段目では、勘九郎時代の心温まる芸談が紹介されている。
今は亡き五代目上村吉弥の「おかや」とのジンワリくる思い出話なのだが、これを読んで、
役者の気持ちから新しい型が生まれることもあるんだなぁ…と、知った。
六代目菊五郎型に関する記述も多く、今月東西で上演された「五・六段目」は、ともに
この菊五郎型を研究し、工夫したモノなので大変参考になった。
六代目菊五郎の写真集を見ながらの勘九郎の談で、
「いいねぇ、勘平って。すごくドラマチックじゃない。五体に熱湯の汗を流し……こんな
しかめっ面しちゃってんのよ。この乱れた形。これでなくちゃいけないんだ。(中略)ぜんぜん
気取ってない。むしろオーバーな芝居してる。これが菊五郎の型なんだ。型と気持ちが
ちゃんとミックスしてるよね」というのがあった。
これを読んで、どうして中村屋の勘平の芝居が大げさなのかわかり、納得。

それにしても、浅草でやっているご兄弟の熱演は、やり過ぎに見えてしまうのだが、たぶん
彼らなりに曾祖父をリスペクトして、研究した結果の「あの形」なのだと思うと、どうしてか
泣けてくる。(→これは私が中村屋贔屓だからだとは思うが・笑)
現・勘三郎の勘平は、大げさではあるけれど、とても自然で芝居の流れが止まることはない。
年月が経って、ご兄弟が研鑽を積み、勘平の役を幾度もやるうちには、今の不自然さもなく
なるのだろう。未来の舞台が楽しみである。

「仮名手本忠臣蔵」にまつわる話あれこれ。知って見るのと、知らないで見るのとでは、楽しみ
度が変わってくる。未読の方がいたら、是非これは試しに読んでもらいたい。また逆に、
観劇の後に読んで、芝居を反芻するのも良いと思う。


★★★★★★☆☆☆☆☆☆

私は関容子さんの著作が大好きです。歌舞伎を心から愛する著者の優しい視点で書かれて
いるので、読んでいてとても気分がいいのです。あと、もう一つ特筆すれば、役者から
面白い芸談を引き出すのにとても長けている方で、その話の数々は他者の著作では決して
読めないモノ。他にも良い著作はいっぱいあるので、またいずれ紹介できればと思います。

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