たらら~んとしたブログ

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コクーン歌舞伎「四谷怪談」南番

橋之助=伊右衛門の、凄みある色悪ぶりに舌を巻いた。
勘三郎=お岩様の、憐れさと哀しさに包まれて泣けた。
やっぱり、東海道四谷怪談は素晴らしい!! コクーン歌舞伎・南番。大・大満足の内容で
ございました。面白かった。感動した。

本日は伊右衛門に焦点をあてた感想?を書こうと思います。

四谷怪談が上演される時は、大概、「深川三角屋敷の場」「小仏小平住居の場」「元の深川
三角屋敷の場」「夢の場」をカットすることが多いです。今回の南番も、これらをカット
したバージョンです。
私は「夢の場」がないと、伊右衛門の想いが伝わりづらいんじゃないかと、以前から思っていた
のですが、今回観ても同じように思いました。

伊右衛門とはどういう男なのか? 酷くて、惨くて、悪いDV男と言っても言い過ぎじゃ
ない男ではありますが、私の伊右衛門像は、「愚かで、憐れで、駄目な男」といった印象。
あと、声を大にして言いたいポイントは、「伊右衛門は最初から最後までお岩様を愛して
いた」ということ。これが四谷怪談の伊右衛門を語るには重要だと思うんです。
そもそも、伊右衛門が浅草観音裏地蔵前の場で、お岩様の父・伊藤左門を殺害した理由は、
「恋仲で、岩のお腹の中には自分たちの子供の命も宿っているのに、復縁を許してくれない
から」であります。それ以外に理由はありません。愛しい岩と復縁したいという一念で犯行
に及ぶわけです。そんな伊右衛門がお岩様を愛していないワケがない!!

なのに、どうしてあんなに酷い仕打ちをするのか?
これはお岩様+子供が厭わしくなったからではないと、私は解釈しております。
愚かな伊右衛門は、武士であるというプライドが高いゆえに、塩冶判官の騒動で浪人となり
落ちぶれた自分の現状に苛立っていて、お岩様+子供に八つ当たっているに過ぎない。
ご存知の通り「四谷怪談」は「仮名手本忠臣蔵」のパロディ作品です。仮名手本~の塩冶浪士
たちは、例の事件で浪人となり、辛い境遇になっても「いつか、敵討ちをするその日まで!」
とありえないぐらい耐えて、頑張る。だから、彼らはヒーローであり、人気者なワケですが、
塩冶家に仕えていた武士の一人である伊右衛門は、ヒーローではあれど悪の華としてのヒー
ロー。まるで駄目。だめんず。(笑)

しかし、私は伊右衛門を極悪非道とは思えない。とても、人間らしい気がして憎めない。
塩冶家没落の際にご用金をくすねるっていうのも、急に明日から無職となる身の上では、
そんな真似をしてしまう気持ちはわからなくもない。悪いヤツだが、明日からのことが
心配でつい出来心で……と言われたら、同情してしまうかも。
伊藤喜兵衛たちにそそのかされて、お梅と結婚するのも、大金+敵方ではあるけれど武士
として返り咲けるという餌を前によろめいてしまっただけで、お岩様よりもお梅が好きに
なったからじゃない。絶対ない!!

要するに、根から悪い男ではないんです!!

その証拠に、お岩様が事故死ともいえる死に方をしてからの伊右衛門は、良心の呵責に
耐え切れず、気を違えてしまう。四谷怪談は、怪談とつく通り、お岩様の幽霊(タタリ)に
苦しめられる伊右衛門の物語ですが、伊右衛門が見ているお岩の幽霊は、タタリではなく、
気が狂って幻覚を見ているだけだと、私は思っている。
愛しい岩を大切にできず、惨たらしく死なせてしまった後悔が大き過ぎて、幻覚まで見て
しまうようになった。

「夢の場」で伊右衛門が見る悪夢は、仲睦まじかった頃の自分たち(二人)・・・。
ここに伊右衛門の愚かだけれど憎めないところが集約されていると、私は思っているので、
ここを上演してくれる北番が楽しみでなりません!!(→中旬に観ます)
気付いたら、伊右衛門を大弁護しているような感想になってしまいましたが、私が伊右衛門
はお岩様を愛していたと主張したいのにも理由があって、そう考えないとお岩様が不憫で
ならないからなのです。あと、お岩様は決して祟るような女ではない!!
一緒に暮らすようになってからの伊右衛門が、突然豹変し、自分に辛く当たっている理由
くらいわかっていたと思うから。祟るとしたら伊藤家であって、伊右衛門ではないと思う
のですよ・・・。

こんな風に四谷怪談を解釈している私の好きな四谷怪談の関連書籍は、作家/高橋克彦が
少年少女向けに書いた「四谷怪談」だったりします。のちに「高橋克彦版四谷怪談」として、
文庫化にもなりました。高橋克彦版の最後は、お岩様が伊右衛門を迎えにくるかのような
描かれ方をしているんです。お岩様はすべてわかって、飲み込んでいた。酷い、惨い男でも
伊右衛門が好きだった・・・。
私の理想の四谷怪談です。伊右衛門=悪の華の憐れさ、哀しみを書いてくれた1冊なので、
興味のある方は是非♪

なんだか熱くなって、長くなってしまいました。
コクーン歌舞伎の感想じゃないですねぇ・・・。それは、また明日!!

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-2 Comments

aroma says...""
お岩が最期まで伊右衛門を愛していたというのはワタシも感じてましたが、なるほど、伊右衛門の解釈にもそのようなものがありましたか、いわゆる『不器用な男』ですね。
次回、四谷怪談を観る時はそんな伊右衛門を堪能したいと思います。

ワタシは先日、北番を観ました。
管理人Aさんの北番の感想楽しみにしています。楽しんで来て下さいね。
2006.04.04 00:29 | URL | #- [edit]
管理人A says...""
aroma様

いやいや、私の解釈は、ただたんにお岩様が可哀相で仕方がない
ので、相思相愛のままではあったと思い込みたいだけのような気
がします。

伊右衛門も大好きなんですよ! なんか憐れな悪の華。
元を正せば、塩冶家の騒動が悪いような気もします。
顔世御前の美しさが罪だったのかも・・・。
2006.04.05 00:51 | URL | #EB29KFfw [edit]

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コクーン歌舞伎◆東海道四谷怪談(南番)
やーーっと初めて観賞しました{/ee_3/}念願のコクーン歌舞伎。前回は予約したにもかかわらず、先方の事情で「キャンセルさせてください」とギリギリになって言われて涙をのんで諦めたので…友人が平場席(座布団席)を取ってくれたので臨場感溢れる舞台を堪能できました。ギ
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