たらら~んとしたブログ

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父帰る/屋上の狂人 観劇感想



草なぎ剛が主演する舞台「父帰る・屋上の狂人」6日20時の回を観劇してきました。
20時開演(※遅いですよね?)の舞台なんて初めてでしたが、今回は短い芝居の二本立て・
上演時間は休憩10分を入れても1時間位と短いので問題なし。帰りには友人と飲めましたよ!

さて、舞台ですが菊池寛の一幕モノの戯曲「父帰る」「屋根の上の狂人」の二本立てと
なります。好対照な芝居でしたが、テーマはともに「家族愛」「家族の在り方」といった
感じでしたので良い組み合わせだなぁと思いました。
大正時代に書かれた戯曲なので、今の家族とは少し違いますが、根っこ(人の心)は今も
昔も変わらないので、古臭くはありません。感情移入しやすかったし、我が身に置き変えて
考えたりもした。
内容については、二本とも菊池寛WEBに戯曲が載っていますので、そちらをご覧になると
良いと思います。●The Kikuchi Web→こちら♪

感想ですが、まず一言で言うと「すごく良かった」に尽きる感じです。まず戯曲がどこにも
無駄のない素晴らしいモノなので、あとはどう演出し、役者がどう演じるかっていうだけ。
今回の河原雅彦さんの演出は、とてもスタンダード。変に狙ったり、遊んだりしない演出に
して、作品世界を壊さず良質の舞台を作ったように思いました。
役者さんも草なぎ君を含め上手い実力派を揃えていたので、文句なし。舞台セット(美術)
や衣装もすごく良かったです。ちゃんと調べて、当時の雰囲気を出しているんだなぁと感心
いたしました。本当にあらゆることに感心・感動で、ここ近年で私が観た舞台の中でもかなり
上位というか、良い舞台だった。ボキャブラリーが貧困なので、良かったばかりになって
しまいますが、本当に良かったんです(涙)

ここからの感想はネタバレを含むので、続きを読むにUPします。

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「父帰る」

秋の宵。母(梅沢昌代)と賢一郎(剛)が、食卓を挟んで弟・妹の帰りを待っているところから
始まる「父帰る」。この家の主人である筈の父は二十年前に放蕩の末、女を作って出奔して
しまっている。食事中の話題で、「父親らしい人を町で見かけた」という目撃談が交わされる
中、玄関の向こうから戸を叩く音が・・・ってなストーリー。泣けたな~。しみじみ。

草なぎ君演じる賢一郎は、出て行った父親のかわりに、一家の大黒柱として家計・家族を
支えて生きてきた青年。そして、子供たちの中で唯一父親の記憶が残っている。
なので、父が帰って来た時に、一人だけ受け入れることができない。
母は女の部分で、弟・妹は純粋に実父との再会を喜んでいる。でも、賢一郎だけは身勝手な
父が許せないのであります。
父が帰って来てから、ずっと、息を詰めたように口を閉ざしていた賢一郎が、父への20年
ぶんの恨み辛みをぶちまけるその瞬間・・・。
草なぎ君は、こういう感情の沸点(弾ける瞬間)が本当に上手いというか、イイですよね。
久しぶりに生で観た草なぎ君のそれに痺れました。凄いな~。
あと役との同一化。一体化と言った方がいいのかな? これが役者・草なぎ剛のいちばんの
魅力というか武器だと今回も思いました。前回、蒲田行進曲でヤスを演じた時も、草なぎ君
はアイドルの彼ではなく、大部屋役者のヤスとして舞台の上にいた。映画やドラマでもそれ
は同じで、一般人をやれば本当に一般人のようだし、病人をやれば死んじゃうんじゃないか
と心配になるほど病人になる。
私は役者・草なぎ剛の大FANなんですよ(笑) 凄い役者さんになったなぁと思います。 

「父帰る」で私がいちばん反応した台詞は、父親の賢一郎に対する『お前は生みの親に対して
よくそんな口が利けるのう』だったりします。コレは一度家族を捨てた人間が決して言って
はならない言葉。とくに捨てた~子供~に対しては決して言ってはいけない言葉だと思うから。
賢一郎が更にキレるのは当然です。あんたの世話にはなってないよ、世話してから言って
くれよって話だから。私も母子家庭で育ったので、賢一郎にはとても感情移入してしまい
ました。でも、結果的に賢一郎は父を許すわけで・・・。最後に去って行った父親を追い
かけるように走り出て行く場面は、とても良かったです。

賢一郎は28歳という設定です。28ではまだ簡単には許せない筈。でも、血の繋がった家族
だから許せる日が来る。菊池寛の書いた戯曲は、そういう懐の深さというか、情愛があって
素晴らしいなぁと思いました。

舞台美術は中央に食卓のある居間、その後ろの襖の向こうに玄関があるという奥行きのある
もので、とても素敵でした。OPに流れるレトロな雰囲気のギター演奏の曲以外は無音。
客席も咳一つ出ないような静けさでした。
が! いいところで、本日は携帯電話のバイブ音が!!!(怒)
シアタートラムは携帯の電波をブロックしていない劇場なので、電源は絶対切って欲しい。
バイブ音くらいですごく目立つくらいの緊張感に包まれている舞台なので・・・。
とくに「父帰る」は!! 

「屋上の狂人」

「父帰る」とは好対照の大らかな作品。生まれた頃から、狐憑きなのか、猿憑きなのか不明
ですが頭のおかしい屋上の狂人・義太郎(剛)。義太郎は高い所が大好きで、真夏の炎天下
でも屋根の上にのぼって遊んでいる。それで、屋根から落っこちて片足が不自由に・・・。
しかし、彼は幸せなのである。屋根の上から彼が見ているのは天上の世界。彼は神様とも
会話ができる。そして、いつも笑っている。

家族はそんな狂人=義太郎をカタチは違えど愛しているのです。
父・母は愛するがゆえに、正気に戻してあげたいと巫女を呼んで御祓いをしてみる。
弟は、インチキ巫女に騙されるな!と両親を怒るけれど、ちゃんと理由があって、『兄さん
を癒してあげて正気の人になったとしたらどんなもんやろ。二十四にもなって何も知らんし、
イロハのイの字も知らんし、ちっとも経験はなし、おまけに自分の片輪に気がつくし、日本中
で恐らく一番不幸な人になりますぜ。それがお父さんの望みですか。何でも正気にしたら、
ええかと思って、苦しむために正気になる位馬鹿なことはありません。』といったもの。
弟は狂人の兄を厄介だとは微塵も思わず愛していて、『成功したら、鷹の城山の頂辺へ
高い高い塔を拵えて、そこへ兄さんを入れてあげたい』なんて夢まで持っている。
この弟の台詞にはヤラれた!と思いました。
狂人は幸せなのです。傍から見たら可哀相かもしれないけれど、本人はいつだって幸せで、
正気に戻すということは、彼の幸せを壊すということ・・・。

こちらも「父帰る」と同じく、家族の情愛に溢れた作品でした。喜劇的なお芝居なのに、
何故か泣けちゃったし・・・。本当にヤラれたな~。嬉しい!

舞台美術ですが、シアタートラムの狭いわりに(天上の)高さのある空間を生かしたセットが
見事。屋根の上に170センチ以上はある草なぎ君が立っても問題ない。そして、背景に
は真っ青な夏空。これにもヤラれました。絵面として詩情があるので、狂人の見ている夢の
ような世界が目に浮かぶようでした。→空想ですが・・・。

あと、草なぎ君の狂人は、本当に愛されるべき存在として舞台の上にいました。「父帰る」
の硬質に感じる賢一郎とは正に真逆で、柔らかくてフワフワしている感じ。まるで、天上人。
あまりに幸せそうだから、皮肉ではありますが、狂人はいいな~なんて思ってしまうほど。

長くなりましたが、二本立てのお芝居。甲乙つけがたいくらい両方面白かったです。
主演の草なぎ君のことばかり書いていますが、脇を固める役者さんもみんな良かった!!
とくに勝地涼さん。まだ若いのにお上手で驚きました。二本とも弟役ですが、良い弟で、
あんな弟欲しいね~なんて、友達と帰りに話しましたよ!
父・母を演じた梅沢昌代さん・沢竜二さんのコンビも、ガラリとちがう父母を魅せてくれて
感動しました。梅沢さんの滂沱の涙は全公演流されるのかと思うと凄いですよね。役者だ!
あと個人的に大好きなキムラ緑子さんの巫女。弾けていて面白かった。
他の皆さんも適所・適材で素晴らしかったです。

本当に良い舞台だった~~。

久しぶりに集中して、最初から最後まで観ることができました。一秒たりとも見逃せない
感じです。なので、終演後は少し疲れていましたが、お陰で友達とした食事(飲み会?)が
すごく美味しかった。良い舞台の後は、あまりお酒が飲めない私でも一杯やりたくなるの
だから不思議。幸せな夜でした。「父帰る/屋上の狂人」ありがとう!!

【MEMO】
販売物は、パンフレットのみ。700円です。

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-6 Comments

りくっち says..."明日"
こんばんわ。
私もとうとう明日参戦です。
テンション上がりすぎて困ってます(>_<)
「あれは夢だったのか?」なんてことにならないように、しっかり見てきます~
2006.04.07 18:30 | URL | #eDwyEylU [edit]
管理人A says...""
りくっちさんの感想も楽しみにしていますよ~~。
2つの芝居で真逆ともいえるキャラクターを剛くんが演じている
ので、FANにはたまらない舞台です。
私は運よく二度目の観劇も可能になったので、次はもっと細かい
ところまで見られたらいいな~と思っています。
2006.04.08 04:04 | URL | #EB29KFfw [edit]
うさぎ says..."うらやましい"
初めまして。
私も、役者草なぎ剛が大好きです。
でも、今回の舞台は事情があって見られません。
ブログを読ませて頂いて、本当にいい舞台だったんだなぁって思いました。何か観に行った気分になりました。これで我慢しないと・・・
素晴らしい時間を剛くんと共有できてうらやましいです。
2006.04.09 06:35 | URL | #oV14fCc6 [edit]
管理人A says..."うさぎ様"
始めまして。拙いブログ感想を読んで頂き有難うございます。
私はSMAPの中では香取くんのFANなのですが、役者・剛は
本当に敬愛しております。

舞台、観れなかった方のためにもDVD化とかになればいい
のですが難しいんでしょうね……。

また千秋楽付近に観劇に行くので、感想書きますね。
2006.04.11 02:15 | URL | #EB29KFfw [edit]
ぐっさん says..."初めまして。"
初めまして。私も役者 草なぎ剛が好きで、芝居が好きで、舞台が好きです。
私は運よく当日券が当たり15日に観劇してきました。関西からの遠征です。
観劇者の感想が聞きたくてネットをめぐり、ここにたどりつきました。

”うんうん”と頷きながら読ませていただきました。
見終わった後、じわ~と来る、暖かいものが心にしみる芝居でしたね。『父帰る』のラストのシ-ン、(父を探しに兄弟二人が追っかける)幼い兄弟が父恋しさに必死で追っかける二人にみえました。
青年二人なのに、あの場面でわだかまりもなにもかもすべて捨てて、最後はシンプルな『父に会いたい』と言う感情のみが残り、父恋しかったであろう幼い頃に戻ったようでした。

『屋上の狂人』…幸せそうな草なぎさんの表情に魅せられましたね。役者として惹きつける魅力のある人だと思いました。役者陣すべてがこの芝居に合ってて、違和感なく、芝居に没頭出来ました。それって、なかなかないことですよね。脇役俳優さんたちも素晴らしかったです。勝地君は将来性のある俳優さんですね。管理人さんの言うように、ほんとに良い舞台でした。東京まで行った甲斐がありました。

すみません…長々書いてしまって。
つい、熱くなってしまって。
千秋楽観劇感想、楽しみにしてます^^。

2006.04.17 13:04 | URL | #Zr2/WiYY [edit]
管理人A says..."ぐっさん様へ"
熱い感想有難うございますv-238
「父帰る」・・・本当にLASTは、心の奥底では父が恋しく、
会いたかったんだなぁっていうのが伝わってきて、賢一郎が家長
から、子供へと戻っていく感じもして感動しましたよね。

「屋上の狂人」は、フワフワした幸せの象徴のような義太郎に心が
奪われました。
関西からの遠征だったそうですが、観た甲斐のあるもので良かった
ですね。この舞台は観ておいて良かったと後からもしみじみと思え
そうな作品でした。

私、千秋楽は行けないのです。28日に行く予定です。
千秋楽の日は、他の劇団の千秋楽を観に行っております。
チケット取れませんでした(涙)
2006.04.21 03:11 | URL | #EB29KFfw [edit]

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父帰る/屋上の狂人
やたら長い時間を要する作品が多い中、約25分×2作品というコンパクトで凝縮された舞台。どちらも明治(大正?)時代の「家族」のある1日の出来事が描かれている。今にはない情景にちょっと鼻がツーンとくる。菊池寛(原作)というと昼ドラのぶっとんだ印象が強いけれど、
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