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カラフルメリィでオハヨ~いつもの軽い致命傷の朝~

NYLON100℃ 28th SESSION
カラフルメリィでオハヨ~いつもの軽い致命傷の朝~
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【内 容】
海に囲まれた病院からの荒唐無稽な脱走劇、人生の最期を迎えた老人と彼の家族のスケッチ、
2つのドラマが重層的に絡みあいながらそっと生と死をみつめる一。
ケラリーノ・サンドロヴィッチ一生に一本の私戯曲、改訂を加えて9年振り、4回目の上演。

【作・演出】
ケラリーノ・サンドロヴィッチ

【出 演】
みのすけ、犬山イヌコ、三宅弘城、大倉孝二、峯村リエ、廣川三憲、村岡希美、安澤千草、
喜安浩平、植木夏十、眼鏡太郎、廻飛雄、馬渕英俚可、三上市朗、小松和重、市川しんぺー、
山崎一

●2006年4月7日(金)~4月30日(日) 下北沢 本多劇場●


【感 想】

ただひたすらに懐かしかった。三度目の上演からも9年という月日が経っている。
初演からいったら、18年も経っている。私も随分年を取りました。
私がこの芝居を最初に観たのは、91年の再演だったと記憶しています。17歳の時ですよ!
セブンティーンですよ! 若かったんだなぁ。たぶん、その頃の私は有頂天から劇団健康に
流れただけだったので、ケラさんの芝居 手塚とおる大好き なんてくらいの気持ちで
田舎から下北沢の劇場まで行ったんでしょう。ラフォーレ原宿で買った似合いもしないジェーン
マープルのロリータ服を着て、気分は下妻物語(笑) 気分だけですが・・・。
三度目の上演である97年は、ぐっと落ち着いて演劇FANとして観に行った。
そして、四度目の今回。すっかりオバサンと呼ばれる年になりましたが、また観に行った。
若さを失った分、得ることもあったようで、今回はすごく感動しました。なんだろう、コレ?

「労働者M」でも思いましたが、ケラの芝居は一部のトラウマ持ち、不幸せな人にほど効く
モノなのかもしれません。私はこの芝居の終盤、海に辿り着いたみのすけ少年たちの場面~
みのすけ少年の幕切れの台詞で、うっかり泣いてしまった。「戻らないぞ、絶対に戻らないぞ!」
とか、「しいたけちゃんを食いに行こうよ」とか、文字にすると他愛もない台詞なのに何故か
グッときてしまい落涙・・・。

人生とはおそろしい冗談のようなものです。

う~ん。そういうことなんですよね。やっぱり。人間はいつか死ぬ。人間の死亡率100%。
それがわかっていても、生きている間に人はいろいろ悩み、考え、紆余曲折する。とても
能天気には生きていけない。死ぬとわかっているんだから悩むだけ馬鹿馬鹿しいのに、くだら
ないことで落ち込んだり、躓いたり。それは傍観して見ると、とても滑稽。
ケラさんの戯曲の多くは、このような視点で書かれているように思います。結末がたいがい
悲劇なのもリアル。ナンセンスギャグ(喜劇的要素)をちりばめて、その悲劇性を薄れさせて
いますが、とてもリアルな人間たちを書いている。だって、能天気に幸せばっかりの人生を
送れる人なんていない筈だから。

何が言いたいのかわからなくなってきましたが、人生とはおそろしい冗談のようなものという
みのすけ少年の台詞が、ケラさんの言わんとすることを短く纏めているように思います。
だから、悲劇で笑うのです。悲しい時も、辛い時も笑うのです。ケラさんはそのために喜劇を
書いているのです。観客と自分自身のために・・・。たぶん、そうなんだろうと大人になった
私は受け止めました。17歳の時には気付かなかったことであります。

しかし、ケラさんの書くものはジャンルは喜劇ですが、すべて悲劇なんですよね。
シリアス・コメディーという用語もあるようですが。
相反するものを成立させているのが、いつも凄いなぁと思う。

ちなみにこの戯曲は、ケラさんが死にゆくお父さんの病室で書いた、お父さんへの想いを
綴った私戯曲であります。そのあたりを踏まえて観ると、よりグッとくるものが。
今回で最後の上演だというので、ケラさんの中でお父さんへの想いが決着したのかも
しれません。

総括↓。
とりあえず、またみのすけ少年の台詞を借りれば「もし長い年月とか、人生の残りとか、
今から先というものがなく、ただあるのは今だけだとすると、この今というものこそ讃える
べきものであり…」・・・ようするに、今を生きるしかないのであります。
たとえ辛くても今を一生懸命生きていくしかないのであります。といったことを、ケラさんの
芝居を観る度に再確認する私です。

舞台自体や役者についての感想は続きを読むにUPします。長くなったので(笑)
そういえば、本日(千秋楽)は、堤真一さんが観に来ておりましたよ。かっこよかった

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【感想・続】

まず、舞台美術がイイ。前回、前々回とあまり変わっていないのも、ケラさん一同のこの作品
への思い入れが感じられました。シンプルで、近未来的な美術。シティボーイズLIVEの美術
を長年担当されている礒田ヒロシさんのモノ。センスいいです
ちなみに衣装は、「父帰る/屋上の狂人」の記事でも取り上げた前田文子さんでした。
病院の白いパジャマが可愛かった。

演者としては、山崎一(老みのすけ役・痴呆症の老人)が舞台を引き締めておりました。上手い。
カラフルメリィ~の老みのすけは、山崎さん以外のキャストがありえないです。また年を取った
せいか、老人役に違和感も減り・・・(笑) すごく良かったです。
死後の、「月の明るい八月の晩だった・・・」から始まる長い、長い台詞。しみじみと心に届き、
グッときました。
みのすけ少年のみのすけさんは、逆に年を取ったのが少々マイナスではありましたが、芝居は
昔より凄く上手くなったのでGOOD! 膝を抱えて、ただ笑っているだけとかが似合う不思議
な役者さんです。
犬山イヌコさんは、驚くほどイメージが変わっていない。まさか、イヌコの「しいたけさん」で
泣かされるなんて(笑) 大好きです
三宅弘城さんは、カーテンコールの表情がなんとも。パンフレットでは、思い出深い作品だけ
れど特別かと言われるとそんなことはない……なんてクールな発言をしておりましたが、感慨
に耽ったような顔をしておりましたよ! 私はナイロンだと近年は三宅さん贔屓です。
大倉孝二さん。久しぶりにナイロンの本公演で観た気がします。義彦の役は、手塚とおる→入江
雅人→大倉孝ニと変わっておりますが、私の中では入江雅人のイメージが強く、大倉さんの
義彦が最初ちょっぴり違和感でした。でも、良かったですよ フランケンあたりから一皮
剥けて、知らぬ間にいい役者さんになっていた。年月は偉大です。
峯村リエが演じた利江は、一見大らかなお母さんですが、実はとても重い役。痴呆の義父を
抱え、旦那はそれを労わってくれずという中で、怪しげな新興宗教に入信してしまう。
義彦に宗教団体に入ったことを責められる場面の、子供のように心許なくなっている利江の
表情とか、とても印象に残っています。こちらもナイロン本公演は久しぶり!

その他ナイロンキャストも頑張っていました。なんだかんだ照れて茶化しても、カラフルメリィ~
は特別な芝居なんでしょう。きっと、それはFANにとってもですが・・・。
客演では、奈津子に抜擢された馬渕英俚可ちゃんが可愛かったです。新鮮!! ワンピース
から覗く二の腕の細さとかにも注目してしまいました。聖子ちゃんヘアの奈津子を好演
小松和重さんも良かったな~。悪い居候・浩一とか本当に嫌なヤツで・・・(笑)

ともあれ、キャストもなかなかに揃った本公演。楽しく観劇いたしました。
ケラさんはしばらく執筆活動を控えるそうで、次回のナイロン公演は「ナイス・エイジ」の再演。
12月になります。だいぶ先だなぁ・・・。



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-2 Comments

ともみ says..."胸がいっぱいです"
こんばんは。
先日、ひと足お先にカラフルメリィ観に行きましたので、TBさせていただきました。
わたしも同じような感想といいますか、気持ちがリンクするところがたくさんあります。気持ちが入りすぎてたせいか、自分では上手く書けなくて、こちらの感想を読んで「ああ、こういうこと書かなきゃいけなかったなあ」と、一人反省会してしまいました(笑)
やっぱり、この作品は“どこか特別”なところがありますね。
2006.05.03 00:36 | URL | #DexK2noU [edit]
管理人A says..."TBありがとう~"
私からも2回ほど、ともみさんのブログにTBしたのですが、
うまく反映されないようです。FC2ではよくあるんですよねi-195

カラフルメリィは久しぶりに見て驚いた芝居でした。
こんなに良かったっけ?って感じで、帰りにはDVDと戯曲を
買いましたよ。
ともみさんの記事は詳細で、読んでいろいろ思い出しました。
私のは感想というよりは、感傷(笑)
どうも最近年を取ったせいか、昔とは違う意味でセンチメンタル
ジャーニーになりがちです。

ちなみに私の中でこの戯曲が特別だとしたら、高校生の時に書いた
修学旅行記のタイトルが「カラフルメリィが降った夜」で、そんな
恥ずかしい作文が学校文集に残っているということです。
カラフルメリィは、舞台よりも歌で最初に触れた感じです。
2006.05.03 02:22 | URL | #EB29KFfw [edit]

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