たらら~んとしたブログ

歌舞伎・演劇・映画などの感想やら、非日常な日常やら、たらら~んと書いてるブログ。
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雁治郎丈最後の日~十月大歌舞伎~

お疲れ様でした。雁治郎丈、最後の歌舞伎座

坂田藤十郎襲名を12月に控える、中村雁治郎さんの最後の舞台「河庄」を含む、
十月大歌舞伎・夜の部を観劇してきました。お席は三階A席でしたが、一生懸命観て
来ましたので感想などを書いておこうと思います。


【双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)引窓】

中秋の名月の晩、母(田之助)のもとに、実の子である相撲取りの濡髪長五郎(左團次)が
帰ってくる。長らくぶりの息子との対面に喜ぶ母。しかし、長五郎はあやまって人を殺め、
暇乞いをしに来たのであった。
そこにもう一人の息子(義理の息子)与兵衛(菊五郎)も帰ってくる。
与兵衛は、亡夫の跡を継ぎ、十次兵衛を名乗ってめでたく代官に取り立てられたところ。
その代官の初仕事は、下手人・長五郎を捕まえること・・・この皮肉なめぐり合わせを
描いた一幕「引窓」。各々が、各々を思いやる気持ちが切ないお芝居で、名作です!!
戯曲も素晴らしくて、伏線や、小道具(引窓や、それを開閉する縄)などの使い方が
上手いな~と、当たり前のことをしみじみ思いました。
役者もすべてはまり役。左團次さんの母を前に大関なのに「子供」に見える態、田之助さんの
後添えの子よりも腹を痛めた子の可愛さに我を忘れる母の本能的な情愛、菊五郎さんの
そんな義母の気持ちを汲んで自分の出世は捨てて長五郎を逃がそうとする優しさ、魁春さんの
得意である「きめ細かい配慮ができる」妻の心と、四者の役への気の入れ具合が素晴らしく、
文句なしの配役。菊五郎さんにおいては、昼の「岩藤」よりも、こちらの与兵衛の方が断然
よかったと思いました。中秋の名月の晩というのがまた憐れさを増して、たいへん感動した
一幕でした。泣けました。

【日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)】

玉三郎さんの人形振り。人形遣いに菊之助というこれまた文句なしの配役!!
恋する安珍を追いかけて日高川の畔までやってきた清姫。しかし、船頭は安珍に頼まれて
いるので船は出せないと言う。安珍の仕打ちに、嫉妬の情に狂い生きたまま鬼となった
清姫は、上半身は鬼女、下半身は蛇となり、日高川を泳いで渡って行く・・・。
文楽の日高川~そのまんまを歌舞伎にしたもの。
しかし、凄い。玉三郎さん、人形にしか見えない。人形に清姫の霊がのり移って動いている
ような、美しくも恐ろしい舞台でした。髪を振り乱し、鬼になったというのを見せるために、
口のあたりに鬼の面を一瞬つけるのですが、文楽人形の清姫の仕掛けみたいで、玉三郎さん
という生身の人が演じているのに、ぞっとしましたよ。
川を渡って行く時も、時折、一瞬だけ般若の面をつけるのですが、それがまた見事で、目の
錯覚なの? 今、般若になってなかった?といった具合に怖い。
凄いものを見た。玉三郎さんが美しいだけに、リアルな恐怖幻想となっておりました。
普通の人形振りじゃない、玉三郎さん独自のモノなだけに、リアルさが加わっていたのかも。

【~心中天網島~ 玩辞楼十二曲の内 河庄(かわしょう)】

雁治郎さんの最後の舞台として選ばれた「河庄」紙屋治兵衛は、初代雁治郎の当たり役で、
「頬かむりの中に日本一の顔」と謳われ、句碑まで残るほどのもの。
それを最後の演目に選んだ、当代の雁治郎さん。その思い入れは如何ほどだったのだろう
と、観て来た舞台を思い出しては考えてしまいます。
私は三階席だったので、治兵衛の花道の出(登場)が見られず、残念でしたが、花道七三は
見えたので、草履を履きなおし、辺りを見て極まる姿はバッチリ拝めました。
ため息が出るくらい、美しい姿でした。初代の治兵衛を知らない私は、現・雁治郎さんの
治兵衛は「頬かむりの中に当代一の顔」とでも表現すればいいのか・・・。
昨日は最後ということもあり、雁治郎さんの役に対する思い入れの深さが三階までひしひし
と伝わってきて、泣けるようなお話ではないと思うのですが、泣けてしまいました。
芸で泣かされるというのは、なかなかないことです。
昨日はまた休演されていた雀右衛門さんも復帰して、小春役をつとめていて、良かった!!
あああ、ほんとうに泣かされたな~。

私は雀右衛門さんも大好きなので、雁治郎の治兵衛、雀右衛門の小春と最高の顔合わせで
「河庄」が見れたのは、歌舞伎観劇の大事な思い出になりそうです。

芝居のあとには、雁治郎さんのご挨拶もありました。15年、雁治郎という名前で上方歌舞伎
を引っ張ってきた、その思いは最後の舞台で極まったようで、涙のご挨拶。
「まだまだ元気です。これからも上方歌舞伎の興隆に精一杯頑張っていきたい」というような
コメントのあと、客席の四方を見渡して、頭を下げる雁治郎さん。
その所作にまで品がよくて、美しかったです。で、私までもらい泣き。
「ご苦労様」「お疲れ様」などという温かい大向こうも降り注ぎ、素敵な夜になっていました。

お見送りもしてきました。
小雨降る中、楽屋口に集まったファン20名くらいにサインや握手などをして、最後に花束を
受け取って車に乗って去って行きましたよ。報道カメラも来ていたので、この模様はスカパー
などで見られるかもしれません。
私も治兵衛のプロマイドに、最後の「雁治郎」さんのサインを頂きました。
家宝にせねば・・・。

ともあれ、十月大歌舞伎・夜の部は名作が並び、どれも面白くて良かったです!!
昼の部も観たのですが、夜の部の方が良かったな~。


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