たらら~んとしたブログ

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「天守物語」「山吹」★七月大歌舞伎~夜の部~★

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天守物語 帰したくなくなった。もう帰すまいと私は思ふ。

やっと観ました。→「天守物語」。これは凄い。想像以上に凄い。
完成度の高さに震えましたよ。今世紀の決定版ではないでしょうか? 
間違いなく「伝説の舞台」として語り継がれると思います。これは観ておいて良かった。

実は私、玉三郎さんの「天守物語」を舞台で観るのは今回が初めてです。前回、7年前の
歌舞伎座は見逃しましたし、その前(H8年)も鏡花作品ということで興味はありましたが、
宮沢りえが亀姫なのが嫌だな~と思い観るには及ばす。
なので、今年やっと観たわけなんです。これは正解だったんじゃないかと、私は負け惜しみ
じゃなくて思っています。
玉三郎さんのような常に上を目指し、それに対し努力を惜しまない方の再演は、きっと回を
増すごとに良くなっていく。
また、相手役を勤めた海老蔵も7年前より今の方が格段と芸が上がり、男ぶりも増し、絶対
今回の方が良い。そして、周囲を固める配役も今回は適所適材でまったく申し分ない。

私はたった1度、しかも初見でありますが史上最高の「天守物語」を観たのだと、根拠は
どこにもないのですが、思っています。そして、とても感動しています。

今月の鏡花祭り。こんなに至福の観劇体験ができるなんて、チケット手配中は考えていな
かったので、ほんとうに幸せです。

【天守物語】

とおりゃんせ、とおりゃんせ……。可愛らしく、懐かしい唄はどこか仄暗く、怪しい。
天守物語の冒頭、侍女5人が天守閣から釣り糸を垂れ、秋草を釣っている。そこに水色の
着物に蓑笠をつけた、美しい下げ髪の夫人(冨姫)が夜叉ヶ池から帰ってくる。
鳥肌立つくらいに素晴らしい鏡花ワールドが、いきなり歌舞伎座の舞台にひらける。
これはもう溜息しか出ないです。
亀姫が遊びに来るということで、衣装替えをする冨姫。その打掛の美しさにも溜息。

今回、亀姫を春猿が勤めましたが、これまた予想以上にいい。赤い姫様の衣装がほんとうに
似合っていましたし、生首持参してくるようなあやかしの姫なのに、無邪気で愛らしいと
いう~亀姫らしさ~も出ていました。
「おあねえさま」と冨姫を呼ぶたびにドキドキしました。
冨姫と亀姫のちょっと妖しい仲睦まじさは、天守物語の見所の一つ。この時点で、二人の姫
は、まだ少女なのです。何百年も生きているあやかしでも、恋は知らない少女たち。
この前半があるお陰で、後半、図書之助と出会い運命の恋に落ちた冨姫が、少女から大人の
女に変わっていく・・・その変化がとても生きるように思うので。

そして、後半。鷹を追って天守への梯子をのぼってくる図書之助(海老蔵)の登場。
ひゃあああ、となるほどの美男ぶり。まっすぐな気性を感じる、爽やかな台詞回しもよく、
これは何百年も生きてきた物の怪の姫様でも、恋に落ちてしまうだろうと納得できる良さ。

「帰したくなくなった」

冨姫じゃなくても、誰であっても「帰したくない」男、図書之助でありました。
海神別荘の公子も素敵でしたが、図書之助もやはり嵌った! 私も恋に落ちました(笑)

「天守物語」は冨姫の初恋物語であるのと同じく、図書之助の初恋物語でもある。
おどろおどろしいあやかしの世界を舞台にしていながら、その中味はリリカルな初恋物語。
この一見合わなそうなものが、見事に融合しているのが本当に面白いと思う。
泉鏡花存命中は、舞台化にならなかった「天守物語」ですが、今回観てみて、これは二の足
を踏んでしまう戯曲だろうなぁとも思いました。
生半可に舞台化するなら、活字で読んで空想した方がいい感じ。ですが、今回のように
良い役者を揃え、美意識の高い人が監修して舞台化すれば、こんなに素敵なものになる。
天国からでも、ぜひ、鏡花先生には今月の歌舞伎座を見てもらいたいです。きっと、お喜び
になりますよ。だって、ほんとうに完璧だと思うもの。

書きたいことは山ほどあるのですが、私の拙い文章でいくら書き綴っても、この舞台の素晴
らしさは伝えられません。「海神別荘」も良かったですが、「天守物語」の方がより本物
感があります。これ以上の舞台化はないだろうと思わせる舞台でした。
ぜひ、映像にも残して欲しい。

個人的に、右近の朱の盆が可愛らしくて好きでした。

千歳百歳(ちとせ、ももとせ)に唯一度、たつた一度の戀だのに・・・という、冨姫の台詞
を借りれば、今回の舞台は、「千歳百歳に唯一度、たつた一度の舞台だのに」という感じで、
一度しか見られなかった自分の不運といいますか、判断力の無さに見終わってからずっと
嘆いています。今日が千秋楽。私はその時間、働いておりますよ(涙)

【山吹】

「天守物語」があやかし(魔界)の純粋な恋を描いた話なら、こちらは人間なのに~魔~
といった好対照のお芝居。大人です。深いです。私にはよくわかりません。
段治郎さん演じる島津正が可哀相なりました。ちょっとした災難です。
美人であっても、あんなエキセントリックな夫人(縫子)に勝手に思われた上に、凡人では
理解できない人間関係を見せ付けられて・・・。腐った鯉を喰らう人々とか、見たくはない
ですよねぇ?
人間のつくる「魔」の方が、天守に集うあやかし達より、ずっと怖いなぁと思った一幕。
笑三郎さんと、静御前の人形が綺麗でした。

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