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出口のない海 ~市川海老蔵主演~

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●公式サイト→http://www.deguchi-movie.jp/
ずっと楽しみにしていた海老蔵主演の「出口のない海」。
映画に出てきた残照にきらめく海のように静かに、淡々と戦争を描いた、素晴らしい
作品だと思いました。そして、美しい・・・。
名作の誕生です。

内容については、以前記事にしたのでそちらをご覧下さい。→こちら

この映画は「戦争映画」というジャンルですが、激しい戦争の描写は一切出てきません。
海軍の特攻隊【人間魚雷・回天】に乗る若い志願兵たちの物語ですが、回天が突撃して、
敵艦隊にぶつかり爆発して散っていく・・・などの描写も出てきません。
回天を載せた潜水艦の中にいる主人公・並木(海老蔵)が、回想するというカタチで
戦時中の東京なども出てくるのですが、戦争映画によくある描写(空襲、焼け野原に
なった街、ゴハンが食べれずひもじい等)はたぶん意図的にすべて排除しているので、
これは本当に戦時中なのだろうか? と思うくらい穏やかです。

しかし、それが返って「戦争」によって奪われるものの大きさや、「戦争」の怖さなどを
現代に生きる人にわかりやすく伝えてくれる。
正直、戦争を体験していない者(私)が、激しい戦争描写のある映画を観ても、まるで
別世界のようで、悲惨だった事実は伝わってくるけれど、感情移入がしづらい。
恐怖や、大きな悲しみに圧倒されるばかりになる。
「出口のない海」は、戦争描写が少ないぶん、主人公たちの感情(想い)を丁寧に描写
してくれているので、当時の彼らの気持ちがすーっと心に入ってくる。

夢がある。その夢のために努力して、頑張ればいつかは必ず叶う。
叶わないとしたら、努力が足りないからだ。
平和な現代に生きる私たちは、どんな夢も叶えることができる。
でも、戦時中の人たちは報国のために夢を追うことすら叶わなかった。
生きることすらできなかった。
この映画の主人公・並木は、変化球が投げられる野球選手になるのが夢で、その友人・
北(伊勢谷)は、マラソンでオリンピックに出るのが夢だった。
そのために、厳しい戦争下でも努力(練習)をしていたし、実力もあったのに「戦争」の
せいで、夢は夢のまま終わってしまう。
戦争映画であり、青春映画でもある「出口のない海」のメインテーマは、このあたりに
あると思いました。
「夢のない世の中になった」なんてよく言うけれど、そうじゃないんだと。本当は努力さえ
すれば、なんでも叶う世の中になったのに、勝手にそれを放棄しているだけなんだと……。
少々、反省しました。

この映画は、若い人に是非観て欲しい映画です。「どうせ、できっこない」とか、「夢は
夢であって、現実は違うもん」とか思って、未来を諦めてしまっている若い人が観れば、
いろいろ考えることができると思うので。

その他、普遍的なテーマもきちんと描いてます。家族や友達を想う気持ち、人を愛する
気持ち・・・。そういう気持ちは、いつの時代も変わらないのだということ。
そして、「死への恐怖」。七生報国の鉢巻を頭に巻いて、自ら志願して人間魚雷になった
彼らも、死ぬことは怖かったのだということ。
いろんなことを見つめ直す機会になる、本当に良い映画です。

役者陣も良かったです。海老様の新境地? 抑えた演技が効いていました
北を演じた伊勢谷友介も、はまり役。「嫌われ松子の一生」「はちみつとクローバー」と、
伊勢谷くんの出演作をここのところ立て続けに観ていますが、北役がいちばん良かった!
お母さんが大好きでちょっと甘ったれな佐久間を演じた柏原収史も、愛おしくなる感じ
で良かった。潜水艦艦長・鹿島役に香川照之 キャスト、豪華ですよね。

映像も美しいです。佐々部監督の撮る映画は、美しくて好きです。
昨年の「カーテンコール」も良かったですが、今回も期待は裏切られず

・・・と、絶賛気味の記事を書いていますが、一つだけ残念なところもありました。
ネタバレになるので詳しく書きませんが、並木が「どうして負けるとわかっている戦争
で【回天】に乗るのか」をキャッチボールしながら語るところです。後半の。あの場面
の並木の台詞は、今の時代の人が思う気持ちで、当時の志願兵の気持ちではないと思うし、
思ったとしても口にしない筈。
ひたって観ていたのに、一瞬「へっ?」てなりました。観た人なら、どこかすぐにわかると
思います。

ともあれ、良い映画でした。感動しました。
主人公が英雄的に描かれず、最期も劇的じゃないのが、いいなぁと思いました。
まだ原作を読んでいないので、早急に読みたいと思います。
まとまらない感想でごめんなさい。書きたいことはいっぱいあったのに、駄目でした。

●映画のお薦め度→★★★★★(5段階評価)
忘れてはいけないこと。大事なこと。いろんなことを改めて考えさせてくれる映画です。
平和な時代に生きている有り難さを、痛感しました。

【観た場所】丸の内ピカデリー2で、9/20に観ました。


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-3 Comments

りくっち says...""
管理人Aさんが良いなら私も大丈夫かな。
文庫が出る前に単行本で読了済みで、久しぶりに読んで泣いた本なので映画化はちょっと複雑だったのです。
原作中回天のことを「金物ゼロロク」というフレーズがあって、それにゾクッとくる困った人間なので、
下関のセットが気になります…。こっそり見に行こう。
2006.09.23 10:51 | URL | #eDwyEylU [edit]
BlogPetのKANTA says...""
管理人Aが、有り難佐久間と、鉢巻とか主人公を絶賛しなかった。
2006.09.23 11:48 | URL | #- [edit]
管理人A says...""
すっかり、返事が遅くなちゃった。
無事に大阪に戻りましたか? 今年の夏はサイコーに楽しかったですね!

「出口のない海」は映画お薦めです。原作読みましたが、そんなに遜色ない仕上がり。
そうそう、私、映画ではとても違和感を感じたのですが、原作ではすんなりで、
かつ感動しました。
並木が負ける戦争とわかっていて、回天に乗る理由を話す場面です。
回天という悲しい武器が存在していたことを、のちの人に伝えるために乗るんだ
っていう、あのくだり・・・。
映画だとちょっと唐突に感じたんですが、原作だと説得力あった。
ちょっと、台詞がかっている言葉だから、映像だと違和感があったのかなぁ・・・。
2006.10.13 01:31 | URL | #EB29KFfw [edit]

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映画 * 『出口のない海』
人間魚雷ということばにぎょっとする。終戦間近に作られた、脱出装置のない高性能魚雷、通称「回天」。しかし、主人公の並木浩二をはじめ、乗り込みを志願した若者たちは、国を、そこに住む家族や恋人を守ろうと、生真面目に操縦法を学ぶ。自らの「棺桶」
出口のない海
新聞屋さんにチケットをもらったので、「出口のない海」を観に行ってきました。戦争ものは泣いてしまうのがわかっているので、今日はタオル持参で。並木(市川海老蔵)と北(伊勢谷友介)の会話ってキザっぽくてバンカラを意識しているのか、棒読みなのか微妙な感じでした。
出口のない海
原作:横山秀夫  監督:佐々部清  出演:市川海老蔵、伊勢谷友介、上野樹里、塩谷瞬、柏原収史、伊崎充則、香川照之主題歌:竹内まりや『返信』二度と帰れないと知りながら人間魚雷『回天』に志願した青年たち。愛する
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