たらら~んとしたブログ

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江戸川乱歩と十七代目勘三郎

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河出文庫から江戸川乱歩コレクション「群集の中のロビンソン」という本が出ている。
これは乱歩の随筆集なのだが、その中に「勘三郎に惚れた話」という一篇があった。
私には、とても興味深い随筆だったので再読。

乱歩は京都南座の顔見世で、当時16、7歳の勘三郎(十七代目・その時の名は米吉)の
少女役を見て惚れてしまったのだという。役は馬盥の妹・桔梗。とにかく可憐で、美しく
かなり夢中になったそうだ。しかし、その当時、25、6歳だった乱歩はまだ名もない貧書生。
面会などは申し込めずにいた。

それから、だいぶん月日が経った戦後、勘三郎(当時・もしほ)の「油地獄」の与兵衛を
観る機会があり、その妙技に嬉しくなったという乱歩。若い頃は、勘三郎の可憐な姿に惚れ、
今度は勘三郎の芸に惚れた。そのあとの役では「法界坊」、「白石噺」のしのぶ役がよかった
と記述している。

乱歩が勘三郎と面会したのは、昭和27年くらい。知人を介して楽屋に行ったのが最初。
その晩、歌舞伎座が終わったあと、ビールを飲みに行ったそうで、そこで意気投合した二人は
すっかり友達になってしまった。自宅にまで遊びに行っていたというのだから、その親睦は
かなり深かったのだと思う。

乱歩が勘三郎の芸について、こんなことを書き残している。
「戦後の歌舞伎の中心をなす若い俳優のうちで、勘三郎君ほど舞台に余裕がある人はない。
六代目菊五郎の余裕に似ている。しかし、この長所は一方欠点でもあるので、自分の演技が
ない時など、目が遊びすぎる。何か傍見をしているような感じを与える。これはよした方が
いいし、本人も近頃気付いて直しているようである。余裕の長所の方だけ残せばいい」
これは、勘三郎にもたびたび言っていたことだそうで、あの勘三郎に諫言まで言える乱歩
というのは、ほんとうに勘三郎と近しい存在で、気心もしれた仲だったのだとうかがえる。

あと、乱歩は法界坊の勘三郎を見て、あんたは「映画のピーター・ローレ」みたいな味が
出せるとも言っていたそうだ。それには勘三郎も興味を示し、大いに語り合った思い出が
あるらしい。
ピーター・ローレ(1904-1964) ハンガリー出身の役者。「カサブランカ」や「八十日間
世界一周」など多数の映画に出演。中でも「M」の幼児連続殺人をした異常犯罪者役の
演技が高く評価されている。法界坊からピーター・ローレを連想した乱歩は、たぶん「M」の
彼のことを指していたんじゃないかと推測。


私が歌舞伎に嵌ったのは99年くらいなので、残念ながら先代の勘三郎の舞台は見たことが
ない。今、夢中になって見ている十八代目勘三郎の父親ということで、いくつか映像で舞台
は拝見させてもらった。言うまでもなく素晴らしい役者さんで、私が見た中では、60歳を
過ぎてからの初役「沼津」の平作がよかった。器用で、上手い。そして、観客を引き込む
なにかがある。映像なのにかなり泣けたので、劇場で観ていた人はもっと感動したんじゃない
かと思う。私はどう足掻いても、先代の勘三郎の舞台を生で観ることはできないので、
勘三郎の名跡を継いで頑張っている現・勘三郎から先代の面影を感じとるしかない。
襲名興行で近くの席になったおばあちゃんが、「お父さんに似てきた。●●なんてそっくり」
と言っていたので、先代の芸を少なからず知ることはできそうである。できるならば、
生で観たいので、それはあの世に行ってから、あの世の歌舞伎座で・・・。
……となると、私が観てみたい三代目澤村田之助や、六代目の菊五郎、十五代目羽左衛門
などもあの世なら観られることになる。だったら、今すぐにでもあの世に行きたいなぁ……(笑)

話がそれてしまったが、乱歩が勘三郎のファンだったと知って、私は嬉しく思った。
好きな作家が、中村屋贔屓だったなんて!
そういえば、美輪明宏も勘三郎とは仲が良かったそうで、乱歩と勘三郎と新宿でよく遊んで
いたと以前、コンサートで話してくれた。そこに三島由紀夫もいたとかいないとかで、
私の好きなモノは繋がっていたんだなぁとその時も嬉しく思った。

纏まりのないまま、今日はこの辺で。

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