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「贋作*罪と罰」野田MAP**シアターコクーン** 

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あらすじ・詳細は→こちら

1年ぶりの野田MAP『贋作*罪と罰』を観て来ました。
このお芝居は、ドストエフスキーの名作「罪と罰」を野田さんが戯曲化したものです。
時代設定を、帝政ロシアから江戸末期へすり替え、主人公を幕末の江戸開成所に学ぶ女塾生
に・・・。テーマは、「理想を実現するために人を殺してもいいの?」といったものだと思います。

主人公・三条英(松たか子)は、聡明で行動的であるがゆえに、『多くの人に幸せをもた
らすためなら、道徳・法律をやぶっても構わない。非凡人(優秀な人)はそれをする権利
がある』という考えをもとに、金貸しのお婆さんとその妹を殺めてしまう。
時代は幕末、新しい時代を切り開こうと倒幕派が勢いづいている江戸。主人公もその時代
の流れに巻き込まれていきます。
そして、主人公の友人・才谷(実は坂本龍馬/古田新太)は、無血革命を成功させるために
金策に動いています。同じ理想の下、この二人は対照的に描かれていて、三条は殺人を、
才谷は血を流すかわりに金を流して、時代を変えようとしているわけです。

最後、主人公は、才谷に向かって「私は正しいことをした。自分が間違っているとは思わない」
みたいなことを慟哭するするのですが、彼女は泣いていて、才谷に救いを求めているんです。
きっと、野田さんは「理想を実現するために血を流すのは間違いである」と、この主人公を
通して観客に訴えているのでしょう。だって、彼女は気付いている。
才谷(龍馬)は牢獄に入って、生きて償うことを主人公に薦め、自分が時代を変えたら、
牢獄を開いてやると言うのですが、物語は龍馬暗殺で幕を閉じるので、それがかなわないのが
切なかったです。なんとなくこの二人は淡い恋情をお互いに対して抱いているので、尚更、
切なかったなぁ・・・。
相変わらず考えさせられるお芝居でした。

印象に残っている台詞は、ウロ覚えですが、「彼のいる方角と書いて彼方っていうのよ。
私はあなたのいる彼方を思って待っているわ」「お前は待っているんじゃない。俺が待っている
んだ・・・」辺りの、主人公と才谷の別れの場面での台詞です。野田さんのこういう言葉遊び
が苦手という人もいますが、私は大好きです。胸にズーンと来るものがありました。

しかし、このテーマはドストエフスキーの原作もそうですが、難しいものですよね。
答えは簡単に出せない。理想論では才谷が唱える「無血」いわゆる平和的な革命、変化が
当然望ましい。例えば、インドを独立に導いたガンジーのように、非暴力で革命を行うと
いった精神。これは本当に素晴らしいのですが、それがかなうなら、この世から戦争などは
とうの昔になくなっているわけで・・・。現実、革命に血はツキモノ。
あと、つけ加えるとガンジーがあそこまで頑張れたのは、宗教があったから。
日本人には宗教がないんです。神のために尊い犠牲を払える人なんて、日本人には殆ど
いない筈。そのあたりも、このお芝居にぼんやりと描かれている気がします。

野田さんは「オイル」などでも、反戦をテーマに織り込んだ戯曲を書いていますが、この
「罪と罰」も、近いテーマの作品に感じました。
前作となる「走れメルス」とは重みの違うお芝居で、楽しく観たい人には「走れメルス」の
ような芝居の方が良かったと思うかもしれません。

舞台ですが、今回はコクーンを面白く使っていました。いつもはステージになるところにも
客席を作り、まるで円形劇場のような空間。私のお席は舞台側だったので、舞台から客席は
こう見えるんだ~と入った時に、妙に感動しました。
あと上手いな~と思ったのが、ビニールのぷちぷちシート(保護用のシート)の使い方。
最後は雪に見立てて、シートの中で龍馬暗殺が! 小道具というか椅子がたくさん使われて
いましたが、それも上手なアイデアだな~と感心しました。野田MAPの美術は毎度イイです。

役者さん! 主演の松たか子さんがすごく良かった。緊張感がひしひし伝わってきましたよ。
大熱演。上に書いた「私は正しい」と慟哭する場面はほんとうに圧倒されました。松さんは
ドラマよりも舞台の方が輝いています。
あと、私の大好きな古田新太兄さん。カッコイイ! デブなのに、あの顔なのに(笑)、舞台
の上では、男前すぎます。新太兄さんの龍馬、超イイです。私は坂本龍馬はあまり好きでは
ないのですが、新太兄さんの龍馬にはまた惚れてしまいました。
野田さんも面白かったです。最後、大政奉還で公家のような格好(注*公家みたいですが、
一橋慶喜公)で出てくるのですが、笑う場面じゃないのに吹きそうになった。相変わらず
お元気で、よく動きます。50歳なのにな~。勘三郎さんといいスゴイ!

長くなりましたが、「贋作*罪と罰」面白かったです。
今年最後の観劇になりましたが、この芝居を選んで正解でした。2005年を締めくくって
もらった気分です。できれば、もう一度観たいな~。

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